マルセル・デュシャンと中古物件

土曜日の午前中は都内で打ち合わせ。
その帰りに国立博物館にデュシャンを観に行ってきた。
デュシャンといえば男性用小便器を作品にした「泉」


既存のものに新たな視点と価値を与えるということで言えば
ウォーホルのキャンベルのスープ缶の一連の作品よりも
もっと本質的に感じるかな。

既存のものに別の価値を与えるということで言えば
ブームになって久しい「古民家」や「リノベーション」というインテリアのキーワードも
そういう面を持っていると言えなくもない。
住むのにはとても不便で価値があまり高く無い物件を
飲食店にする、アートスペースにする、コミュニティースペースにすることで
価値あるものに変換する。

家という本来「住む」ことで価値があるものとされるものに
「住まない」ことで価値を与える。
これは意外に面白い転換なんじゃないかなと思う。

このレトリックを他のことに当てはめると、ちょっと面白い。
着ないことで価値が生まれる服
食べないことで価値が生まれる食材
飛ばないことで価値が生まれる飛行機
座らないことで価値が生まれる椅子
読まないことで価値が生まれる本

まだまだ未知の目に見えない価値が
きっと世の中にはゴロゴロ転がっていて
それを目に見える形にするのは
アートやデザインの役割の一つなんだろうな、きっと。

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