椅子塾の日々

ある時なにかのきっかけで出かけた五反田の東京デザインセンターで

偶然「椅子塾展」に出くわした。

「なんていい名前の塾なんだ!」

と思ってちょっと興奮した。

 

今でもはっきり覚えているのは、確かNHKに勤めていると

プロフィールに書いてあった方の作品で

背もたれが美しく反った十字架になっている

シンプルな椅子だった。

 

それ以来、いつか椅子塾に通いたいと思っていた。

それが叶ったのが2006年

東京で家具デザイン修行的な毎日を過ごしていた頃。

 

椅子塾に通うことは本当に喜びだった。

毎週デザイン案を持ち寄りディスカッションをして

志を同じくする仲間とショップを周り

ランチを共にしながらデザインについて

あーだこーだと語り合う。

 

自分の骨格見本を作り

なぜ座り心地のいい椅子と悪い椅子があるのかを

ビジュアルで理解した。

 

 

そこで僕は今でも傑作だと思っている

「晩酌しながら読書をするための椅子」を

デザインした。

その1/10の模型が、これ。

 

これの1番優れているところはキャスターが付いていて

椅子に座ったまま(跨ったまま)移動できるという点。

晩酌をしていると、良いの進み具合によって

読みたい本が変わっていく。

でも、だんだん歩くのも億劫になっていく。

そんな時、赤ん坊の歩行器のように

跨ったままガーガーと書棚の前まで移動していき

好みの本に取り替えられるのだ。

 

しかも座面の下は収納になっていて

ウイスキーに飽きたら焼酎を取り出したり

日本酒を取り出したりできるようになっている。

この傑作椅子をいつか具現化して

なんなら商品化して

なんなら椅子御殿を建てるのが

わりとリアルな夢だったりするのだ。

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