もうだいぶたってしまったけれど
「僕を育ててくれた仕事の話①」というコラムを以前アップしました
某ホテルの鉄板焼きレストランで
傷みの目立ってきたカウンターに10mmの無垢材を乗せることになり
それに合わせて既存の椅子の座面の高さ(シートハイ・SH)を10mm高くする
リデザインをするというお話
今日はその続き
椅子の図面というのは「原寸」といって1/1スケール
つまり実際の椅子と同じ大きさの図面を描きます
僕はCADではなく手描きでその図面を描くよう指示をされていたので
ベニヤ板1枚を乗せた大きな机にトレーシングペーパーを広げ
描いていきました
まず僕が取り掛かったのは現状の椅子の原寸を
トレぺに書き写すこと
プリントされた図面を下敷きにしてただなぞるだけなので
そんなに苦労はしないだろうと思ったら
これがまぁ大間違い
でっかいアール定規やら平行定規やら円定規やらを駆使して
ただ書き写すだけがとんでもなく手間がかかる
単純な曲線は「○○R」と曲率が書いてあるのだけれど
背もたれなどの複合曲線はいくつかのアール定規をアレコレ当ててみて
ちょうど合う定規を使ってある点からある点までを描く
で、曲率が変った点から先はまた違うアール定規をアレコレ当てて
つなげていく
さらに、点でつながった2つのアールは
その点で「クネッ」と線が曲がった感じがしてしまうので
その点の前後をさらに違う曲率のアール定規を当てて
なじませなくてはならない……
描いては消し消しては描き
トレぺを真っ黒にしたり時に破いたりしながら
ひたすら下敷きの図面を描き写す……
こうして僕は
スタートラインに立つ前の「ウォーミングアップ」的な作業で
早くもリタイヤ寸前まで追い詰められたのでありました
つづきます
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