「用の美」とインテリアデザインという仕事

柳宗悦が民藝運動の中で提唱した概念「用の美」

本当に使いやすいものを作ろうとひたすら追求すると

その結果生まれたものの姿には美が宿る

というような考え方

 

日々の仕事の中でふとこの言葉を思い出すと

ちょっと頭と心が悶々としてきます

 

デザイナーという仕事は

どうしてもどこかで

「今までにないデザインを生み出したい」とか

「らしさを表現したい」とか

ともすると凡庸な意味での「個性」を表現しようと

いらん努力をしてしまいがち

 

で、そうしてデザインしたものは

たいがい工場で作りづらいものになりがちで

手間がかかる分よけいなコストがかかったり

あとで手直しするときにとてもしづらかったりします

 

柳宗悦が茶道のお道具について書いた本「茶と美」の中で

柳さんは「作意」を徹底的に批判します

 

それは黒一色の極限まで作意を排したように見える

千利休が長次郎に焼かせた「楽茶碗」にも及びます

 

「作意を排すという作意」を批判するわけです

 

そんなレベルの話と僕らの日常のデザインの仕事は

比べるべくもありませんが

ただただクライアントが快適に心地良く過ごせる空間を

使いやすくて飽きの来ない家具を作れれば

そこに美しい空間や家具が生まれるのだという想いを忘れず

独りよがりデザインに手を染めないように

意識しながら取り組んでいきたいなというお話しでした

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