ゆっくり丁寧に、しかも……

小学校の時の担任のH先生

先生はとても器用な方で

でかい帆船凧やカモメの形の凧を作ったり

バルサ材でめちゃめちゃよく飛ぶ飛行機を作ったり

ぐんぐん空に近づく竹とんぼを作ったり

とにかく「なんでも作れるすごい先生」なのです。

 

そんな先生の口癖がタイトルにした

「ゆっくり丁寧に、しかも……」

という言葉。

「……」のところにはどんな言葉が入ると思いますか?

 

正解は「しかも早く」

 

「ゆっくり丁寧に、しかも早く」

これが先生の口癖でした。

クラス全員で何かを作っているとき

先生はこれを呪文のように繰り返し言いながら机の間を歩き回っていました。

 

大人になってこの言葉を想うと

その意味するところの深さに改めて感心させられます。

 

ゆっくり丁寧にするだけなら簡単なこと。

自分だけの時間の中でやる(例えば趣味のプラモデル作りのような)ことなら

気の済むまで時間をかけてただただ丁寧にやればよいことですが

ほかの人と共有する時間の中で何かをするときには

そういうわけにはいきません。

 

後工程の担当者がいる

見積りを待っているクライアントがいる

納期通りに家具が納められるように製作する

ミーティング用の資料を作る

 

そんな時にただ「ゆっくり丁寧に」やっているだけでは

待っている人に迷惑をかけることになる。

ただ「早く」するだけではクオリティが下がったり

ミスの多い仕事になったりしてしまう。

 

この「ゆっくり丁寧に、しかも早く」という言葉は

社会に出て多くの人との関わりの中で仕事をしていく上で

とても大事なことを言い表していると改めて思います。

 

時間をかけて丁寧にことに取り組み

それを効率よくスムーズに進められるよう考えて行う。

10歳にならないくらいの頃にかけてもらった言葉が

いま改めて自分を律してくれるのはとてもありがたいこと。

 

ここに書くことで「ゆっくり丁寧に」だけしがちな自分を戒め

「しかも早く」だぞと、心に発破をかけようというお話。

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