今日は何となく「ツキ板」について書いてみます。
なぜかというと、事務所の棚を整理していてこれを久しぶりに開いたから。
最近は印刷の技術がすごく向上していて
タイルや化粧板の「石目・木目」がものすごくリアルになっています。
家具で使うメラミン化粧板に関しては木目がリアルなこともありますが
色が一定でイメージ通りに仕上がるというところがやはり大きい。
「本物の木」は仮に塗装サンプルを作って色を決めたとしても
実際の家具に塗装をかけたときに同じ色に仕上がるとは限らない。
木の肌の性質によって色の出方が変わりますからね。
でも、やっぱり本物の木はいいなぁと思います。
手触り、表情、温もり、ものによっては香りでその個性を感じることができるのが
なんといっても魅力的。
木の木目は見る角度によって光の反射が変わり
光り方(ギラといったりする)が変わります。
家具の修行を始めたころは、一番簡単な突板と化粧板の見分け方として
家具の周りを一回りして表情が変わるかどうかを見ろと
教えられました。
化粧板はプリントなのでどちら側から見ても同じように見えますから。
家具では反り・むくれ・割れなどを防ぐために
あるいは軽量化やコストダウン、品質の均一化のために
多くの場合は無垢板ではなく木を薄く(0.2~0.6mmくらい)スライスした「ツキ板」を
ベニヤなどに貼り付けたものを使います。
これを「練り付け」といい、「練る」「練ってもらう」などと使います。
図面の指示などでは「メープル突板練り付けオイルステイン指定色仕上げ」
なんて感じで使います。
乱伐や気候変動などで良質の材料の入手が難しくなっていて
無垢材はおろか突板ですら品薄・高騰といった状況があるそう。
化粧板の品質が良くなっているところへ来てのその状況ですから
今後ますます「突板練り付けオイルステイン指定色仕上げ」なんていう
指示を図面に描き込む機会は減っていくんでしょう。
大塚家具で特注家具デザインに携わっていたころは
時には突板を取り寄せ床に並べて、節や小さな虫食いなどに目を光らせ
どのあたりを家具のどの部分に使うかということを
みんなで検討したりしましたが、そういうこともなくなっていくんだろうなぁ。
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