壁からのぞく竹の話し

先月の10日、桐生市の「有鄰館」で開催された

翻訳家の柴田元幸さんの朗読イベントに出かけました。

 

会場の有鄰館は

「江戸時代から昭和にかけての11棟の倉軍が

舞台や展示、演劇、コンサートなど様々な用途に

使用されている」というもの。(HPより)

 

会場もイベントも素晴らしく、大満足の2時間だったのですが

本題は別の話し。

 

敷地内の一つの倉庫が地震の被害を受け

壁の一部が剥落して「壁の中」が見える状態になっていました。

そこでものすごく久しぶりに伝統的な構造に出会ったのです。

 

それがこれ

竹で作られた「小舞(コマイ)」です。

 

これは土などで壁を仕上げる際にそれが落ちてしまわないように

食いつかせるための伝統的な方法で、竹を縦横に格子状に組んだもの。

いまは左官の壁を作る際には「ラス(ラス網)」という

金属製の建材を使いますが、昔はこうしていました。

 

僕が子供の頃は田舎の古い家に行くと土壁の建物がまだあって

その傷んだ壁から小舞が覗いているというのは

そんなに珍しいことではありませんでした。

 

古い建築では壁の一部を塗り残してこの小舞を見えるようにすることがあり

これを「壁の下地が見えている窓」ということで「下地窓」と呼びます。

(すでにこの感覚がいい)

その「篠(小舞の竹・下地)」の露出した「目(窓)」から朝焼けに赤く染まる

東の空の雲が見えたことから「ひがしのくも」と書いて「しののめ」と

読むようになったとか。

(素晴らしい感覚だ)

 

思わぬところで「小舞」と再会したイベントのお話しでした。

 

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