お世話になっている某家具屋さんのN社長から
勧めてもらった本。
それは檀ふみさんの「父の縁側、私の書斎」
タイトルのリズムからしてすごくいいと思いません?
(声に出して言うと心地よさ倍増です)
この本は檀ふみさんが父である檀一雄と自身の「家」にまつわるエピソードをつづったエッセイ集。
「家」という家族が生活する「箱」についての視線が穏やかなのにえらく鋭い。
それは専門家目線とは全く違うけれど「家」が純粋に好きなひと
そして日ごろから物事をきちんと考える習慣のある人の目線だな、これは。
そして、自分自身も含めたともに「家」で生活するひとりひとりに対する目線が
優しくちょっといい加減で、なのに厳しい面も持ち合わせている。
たぶん自分が感じたことを無意識のうちに「なんでそう感じたのか?」と
きちんと考える習慣がある人なんだろうなぁ
とにかく、外の出来事も、内から湧き出ることも、きちんと考える人なんだろうな。
なぜか強くそう感じたわけです。
さらに文章がとても心地よくて、たとえば電車の中で読んでいると
1つのエピソードを読み終えるたびに小さく深呼吸をして窓の外を眺めて
ちょっと自分に置き換えて妄想とか想像をして楽しんでから
次のエピソードに向かう感じ。
檀さんといえば、幼いころ観ていた「檀さん・大和田さん・檀さん」でおなじみの
連想ゲームに出ていた大人の女の人であり、派手さは無いけど感じのいい女優さんであり
あの檀一雄の娘であるという以上のイメージはなかったけれど
とても優れたエッセイの書き手だということを知ることができました。
インテリアや建築や住環境に関わりながら生活している方にはぜひぜひ読んでもらいたい本。
なまじっか「プロ」として仕事をしていると忘れたり見逃したり
あと、なにより「見て見ぬふり」を無意識にしてしまっていることを突きつけられます。
そういう意味ではちょっと怖い本でもありますね。
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