「広々」と「広すぎ」の分岐点の話

ちょっと前に竣工・お引き渡しになったリノベーションの案件。

Rooming+さんの案件で、家具・照明をRooming+さんが、施工をLIB建築工房さんが

デザインをBEAMが担当しました。

ダイニングテーブルが置かれているスペースはもともと和室で

全部閉めると個室になるL型の引き戸がありました。

その引き戸をとっぱらってさらにもう1部屋をつなげ

広いリビングダイニングにという計画です。

 

お話をしてみて施主様のなかでは広い空間を確保して

ダイニングテーブルが置かれているところがダイニングエリア

ソファーが置かれているところがリビングエリアというふうに

緩く家具でゾーニングする、そんなふうにイメージしているのだと感じました。

 

マンションのリノベーションでよくあるのが壁を撤去して

複数の部屋をまとめて広いリビングダイニングにしたりベッドルームにしたりする計画なのですが

その時に重要なのが「広ければいいのか」という問題です。

 

 

細かく区切られた空間に狭さや不便さを感じているとき

最優先するのは当然「広々とした大空間」となります。

その時に気を付けなければいけないのが「広々として気持ちいい」ことと

「広すぎて落ち着かない」ということの分岐点を間違えないということだと思っています。

 

今回は施主様とダイニングでの過ごし方のお話しをしたり

Rooming+さんが提案したダイニングの照明の明るさを考えたりする中で

解放感を保ちつつ仕切られた空間を感じられる方が良いのではないかと考え

ダイニングの2方向に袖壁風のルーバーを設け、その延長線の交点に柱を立てるデザインを提案しました。

こうすることでリビングとのつながりを損なうことなく

イメージの中にだけ存在する仕切りの壁を作り

少しだけ個室のような雰囲気のあるダイニングルームを作ろうと考えたのです。

 

最初に提案をご覧になった施主様は

「ルーバーはいいけど柱はじゃまかな」とおっしゃっていたのですが

意図をお話しし、柱を細くしてモザイクタイルを貼りダウンライトを仕込んで

ちょっとしたものを飾ることのできるディスプレイスペースも兼ねるという

修正をしたところ、快諾してくださり

出来上がった空間をとても気に入ってくださいました。

 

今回はこのデザインが正解でしたが施主様の過ごし方やイメージ・ご要望によっては

柱がないのが正解であったり、柱もルーバーも無いのが正解だったり

柱とルーバーに追加してカーテンなどで仕切ることができるようにするのが正解だったり。

 

正解は施主様の数だけあるということを忘れずに、さて、次の現場へ!

 

 

 

 

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