アアルトの魅力と「我がふるさと」

先週の土曜日、都内での打合せの合間に

東京駅のステーションギャラリーで開催中の

「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」

を観てきました。

 

年代ごとにテーマを絞って展示されていて

手描きのドローイングやアアルト建築の撮り下ろしの写真

模型や図面も豊富で、中々見ごたえのある企画展でした。

 

なかでも目を引いたのが、1枚だけ展示されていた

照明計画のための図面。

 

黒い紙に白い線で図書館の閲覧室の断面図が描かれていて

その波打つような形状の天井に埋め込まれた照明から

どんな角度で光が出ていきどのように反射して

どのように照らすのかが描き込まれています。

 

照明計画で光の広がり具合を検証するとき

いまは照明メーカーなどにデータで出してもらうか

CGパースで確認するのがほとんどで

実際に自分で線を引っ張って検証したこともなければ

そうしている人も見たことがありません。

 

当時はそういう技術がなかったということももちろんですが

自分のデザイン(この場合はうねらせた天井)が照明環境に

どのように影響を与えるか

不快を絶対に与えない明かりのデザインと

自分が理想とする形状のデザインを

高い次元で両立することへの責任を感じ

しばしその図面の前から立ち去ることができませんでした。

 

かの有名なパイミオのサナトリウムの病室を再現した展示も

素晴らしかったです。

肺結核の療養所であり、規格化された家具や洗面台、ワードローブで

構成されているのですが

光を感じる、清潔感とぬくもりがきちんと同居している空間で

こんな雰囲気のプチホテルがあったらいいのにと思えるほど。

これは一見の価値ありです。

 

そして、ものすごいことに僕は気づいてしまいました。

アアルトのあの「サヴォイ・ベース」の木型が展示されていたのですが

その形状をみて僕はハッとしました。

「こ、こ、これは我がふるさと『鶴舞う形の群馬県』ではないか!」

そうです。

あの名作は鶴が大空を舞う形、群馬県の形にそっくりなのです!

(iittalaのオフィシャルページを今すぐチェック!)

(「鶴舞う形の群馬県」はこちらをチェック!)

オーロラをなぞらえたとも言われるあの素晴らしいフォルムに

群馬県の形が隠れていたとは……

 

点数は少ないですが

パイミオチェアをはじめ家具の展示もあり

アアルトの歴史が丁寧にトレースされているので

おすすめの展示です。

会期中に、ぜひ。

 

 

 

 

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